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〈中小企業の人的資本経営に関する実態調査 第2弾〉近年注目の「人的資本経営」中小企業の実態を調査

人的資本経営を取り組めている先は過半数が効果を感じている結果に取り組む上での課題は「時間がかかる」「費用がかかる」が上位支援体制やガイドライン策定が必要に

 Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業の経営者973人に「中小企業の人的資本経営に関する実態調査」を実施しました。

 「人的資本経営」が世界的な潮流から日本でも注目度が高まっています。前回の「中小企業の人的資本経営に関する実態調査 第1弾」では、中小企業経営者の人的資本経営への理解度や人材獲得についての実態が明らかとなりました。今回の調査第2弾では働きやすい環境の構築状況や人的資本経営に取り組むメリット、今必要な内容について掘り下げた調査を実施しました。

【調査結果サマリー】
①中小企業の働きやすい環境の構築には未だ課題感が
 育休・介休ともに取得事例がない・規定がない先が61.4%に
 また、コンプライアンス・人権ポリシーなどの項目についても多くが取り組めていない結果に

②人材の把握などの管理体制については
 比較的多くの中小企業が取り組めている結果に
 給与計算と関係する項目が多く、経営と連動しているためと推察

③中小企業の人的資本経営は浸透にはまだ遠い一方、
 取り組めている企業は半数以上が効果を感じている結果に
 人材強化・競合優位性の構築・売上の増加など経営に関わる項目で顕著な結果に

④取り組めていない課題は時間がかかる(35.8%)費用がかかる(27.5%)が上位に
 国や政府からの補助制度や成功事例の共有、ガイドラインの策定が求められる結果に

本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。
【アンケート概要】
●調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所
●調査期間:2023年12月11日~2024年2月8日
●調査対象者:全国の中小企業経営者
●調査方法:ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
●有効回答数:973

①中小企業の働きやすい環境の構築には未だ課題感が
 育休・介休ともに取得事例がない・規定がない先が61.4%に
 また、コンプライアンス・人権ポリシーなどの項目についても
 多くが取り組めていない結果に


Q1.育児休業・介護休業の取得事例はありますか。

 「社内規定はあるが、取得事例がない」(34.1%) 「育児休業・介護休業の社内規程がない」(27.3%)となり、育休・介休ともに取得事例がない・規定がない中小企業が61.4%となりました。

Q2.時間や場所にとらわれない働き方ができる環境を提供していますか。
 「時間と場所にとらわれない環境を提供している」は29.4%にとどまり、「提供していない」が47.1%となりました。

Q3.スキルや能力、職務経歴に関係なく、多様な人材採用に努め、活躍できる環境を整えていますか。
 「多様な採用は行っておらず、活躍可能な環境も整えていない」(36.6%)「多様な採用は行っているが、活躍可能な環境は整えていない」(14.3%)となり、50.9%の中小企業が活躍できる環境を整えられていない結果となりました。

 「働きやすい環境」の構築は人的資本経営にとって重要な項目の1つですが、上記の調査では中小企業では働きやすい環境の構築には課題感があることが明らかとなりました。特に、育休・介休ともに取得事例がない・規定がない中小企業は57.7%となりました。前回調査から、中小企業では人材獲得ができていない先が多いことが確認されましたが、そのような人員不足の背景から、育休・介休が取得しづらい環境であることが推察されます。

Q4.コンプライアンス・倫理に関する研修機会を提供していますか。
 「提供していない」が72.4%となり、多くの中小企業でコンプライアンスや倫理に関する研修機会の提供ができてないことが明らかとなりました。

Q5.コンプライアンス・倫理に関する自社の方針を従業員が確認できる場所に開示していますか。
 「作成していない」(61.1%)「作成しているが、従業員へ開示していない」(12.1%)となり、73.2%の中小企業でコンプライアンスや倫理に関する自社の方針を従業員が確認できていないことが明らかとなりました。

 「コンプライアンス・倫理」についても人的資本経営にとって重要な項目の1つですが、非常に多くの中小企業で対応が進んでいないことが明らかとなりました。上記の「働きやすい環境」の構築と比べても、より対応が遅れている分野だと捉えられます。

Q6.差別や、ハラスメント禁止の徹底と従業員への教育を実施していますか。
 「どちらもしていない」(45.8%)「やろうとはしているが、徹底はできていない」(28.5%)となり、差別の禁止の徹底と教育を十分に取り組めていない企業が74.3%となりました。

 人的資本経営の重要な項目である「労働慣行」に関する上記の調査でも、他の分野と同様に非常に多くの中小企業で取り組みが進められていないことが明らかとなりました。上記の分野はどれも人的資本の情報開示で大企業が求められる内容ですが、中小企業では進められていないことが確認され、早急な対応が求められる結果となりました。

②人材の把握などの管理体制については
 比較的多くの中小企業が取り組めている結果に
 給与計算と関係する項目が多く、経営と連動しているためと推察


Q7.従業員名簿を作成していますか。
 「作成しており、9項目網羅している」(30.5%)「作成しているが、9項目網羅していない」(42.3%)となり、義務付けられている項目の網羅がされていない場合もありますが、72.8%の中小企業で従業員名簿が作成されている結果となりました。


Q8. 労働者の男女の賃金の差異について、その雇用する全ての労働者、正規雇用労働者、非正規雇用労働者(パート・有期社員)の3区分において把握できていますか。
 「把握している」(48.5%)となり、半数近くの企業での把握ができている結果となりました。


Q9. 従業員の勤怠管理を行い、記録された労働時間や残業時間を確認していますか。
 「勤怠管理を行っており、従業員個人の残業時間を確認している」が71.6%となり、多くの企業で労働時間や残業時間の管理が行われている結果となりました。

 「健康安全」や「労働慣行」に関する調査でしたが、こちらの調査では比較的多くの中小企業で取り組みが進んでいる結果となりました。人材の把握などの管理体制については給与計算と関係する項目が多く、経営と連動しているため多くの中小企業で取り組みが進んでいると推察されます。

③中小企業の人的資本経営は浸透にはまだ遠い一方、
 取り組めている企業は半数以上が効果を感じている結果に
 人材強化・競合優位性の構築・売上の増加など
 経営に関わる項目で顕著な結果に


Q10.人的資本経営を実施したことにより、貴社ではそれぞれの項目における効果はありましたか。

 人材強化について効果を感じている(「十分に効果を感じている」「やや効果を感じている」の合計)中小企業は75.7%、競合優位性の構築について効果を感じている中小企業は63.6%、売上の増加について効果を感じている中小企業は63%となりました。
 これまでの調査から、中小企業における人的資本経営の浸透には遠い一方、取り組めている企業では経営に関わる項目で
 効果を感じられていることが明らかとなりました。

④取り組めていない課題は時間がかかる(35.8%)
 費用がかかる(27.5%)が上位に
 国や政府からの補助制度や成功事例の共有、ガイドラインの策定
 が求められる結果に


Q11.人的資本経営に取り組むにあたり、貴社で感じている課題を教えてください。

 「時間がかかる」(35.8%)「費用がかかる」(27.5%)が上位となりました。また、「社内にできる人材がいない」が次点で、その他「分からない」「取り組み方が分からず手探りの状態である」「効果がわからない」などが続きました。

Q12.あなたは人的資本経営を進める上で、どのような支援が必要だと思いますか。
 「国や政府からの人的資本経営に向けた補助制度」が40.0%となり最も求められている結果となりました。

 人材強化・競合優位性・売上増加などの重要な項目で効果を感じられているため、人的資本経営は中小企業にとって取り組むべきものだと捉えられます。一方で、現状の人的資本経営の構築には時間的・資金的なコストがかかり、中小企業にとってはハードルが高いものとなっていることがこれまでの結果から推察されます。国や政府からの補助制度やガイドラインの策定などの必要性は今後ますます高まるでしょう。

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